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6歳までの環境が人生の方向性を決める

Penguin Family

動物園の動物はどこからやってくるか知っていますか?

野生の動物がアフリカなどで捕獲され、そこから動物園に連れてこられていると思っている人もいるかもしれませんが、実はそうではありません。私達になじみの深いゾウ、ゴリラ、サイ、トラなどは実は絶滅危惧種で、売買することが禁じられているため、捕獲して調達することはできないのです。

そんな中、動物の絶滅を防ぐために役立っているのが動物園です。現在、世界中の動物園ではさまざまな動物の繁殖をさせるための活動を行っています。時には、動物園館でお互いに数が少なくなった同じ種類の動物を交流させることもしています。つまり、動物園にいる動物は、動物園で生まれているのです。

野生の動物が激減している理由は、密猟者による捕獲と環境破壊でしょう。彼らは生活環境が変わると、それに順応できずに絶滅してしまうケースがありますが、それはなぜでしょうか。

ほとんどの動物は「本能」で生きています。親が子育てをしない動物はたくさんいますが、彼らは誰からも何も教わらなくても、食べ物の見つけ方や危険から身を守る方法を心得ています。しかしこれには問題があって、環境が大きく変化すると、彼らの「本能」がそれに対応することができず、結果として滅んでしまうのです。

人はなぜ、環境の変化に対応できるのか

では、人はなぜさまざまな環境で生きていく事ができるのでしょう?それは、人間は本能だけで生きていないからです。もちろん、熱いものを触ったら瞬間的に手を離すといった動作は本能によるもので、そのような能力が備わっていないわけではありませんが、それだけでは不十分なのです。

人間は知能の発達と共に、生活環境も大きく変化しました。そのため、急激に変化する環境に対応することができるよう、本能ではなく、必要な行動パターンを生まれてから学習するように進化してきました。

しかし、人が生きていくために学習すべき情報量は膨大で、かつ、それらを学習するために与えられた時間はあまり長くありません。子供が大人に比べて短期間にさまざまなことを学習し、記憶することができる能力を持っているのはそのためです。

脳波は年齢とともに変化する

学習するということは、脳に覚えさせることを意味しますが、これはすなわち潜在意識のデータベースに情報を書き込むということです。驚くほど多くの情報を、超高速で処理しながら記憶するのですが、なぜそんなことができるのでしょう(大人になってからもその能力を使えたら・・・と思う人も多いはずです)。その秘密は「脳波」にあることが、最近の研究で分かってきました。

人間の脳の活動には、いくつかの異なる周波数パターンがあり、それらは生まれてから発育するに従って変化することが明らかになっています。

0歳〜6歳まで

2歳までの子供の脳は、主にデルタ波(0.5〜4Hz)で作動していて、その後、2歳〜6歳までは脳波の周波数が若干上がり、シータ波(4〜8Hz)が増えていきます。

7歳〜12歳まで

その後、脳波は成長とともに高周波数のアルファ波(8〜12Hz)が、そして12歳頃になると、さらに高いベータ波(12〜35Hz)が現れ始めます。

つまり、生まれてから6歳頃までの子供の脳は、ほとんどデルタ波とシータ波で、この周波数の脳は、見たものや聞いたものをどんどん潜在意識にダウンロードすることができます。これは、必ずしも親が教える必要はなく、子供は親の行動や言動を見て、自分で観察・学習します。これによって、子供は親の行動や信念を自分自身のものにしていくのです。

そして、7歳以降になって脳波がデルタ波・シータ波からアルファ波・ベータ波へと、脳波の周波数が高くなるに従って、外部情報による影響を受けにくくなります。

つまり、潜在意識のデータベースの大半は0歳〜6歳までの間にできあがると言えます。

潜在意識は常に正確に動作するプログラム

発育状態の子供の意識は、まだあまり進化をしていないため、親の行動や言動がどういう意味なのか、それが本心なのかどうか、ということを判断することはできません。

例えば、仮に親が対して意識もせず、日頃から「おまえはバカだ」とか「どうせやっても無理だ」などという言葉を発していたとしましょう。すると、子供はそれらの言葉を文字通り受け取り、潜在意識のデータベースに書き込んでいきます。そしてそれは、その後の子供の行動パターンを司る「プログラム」として機能するようになります。

「おまえは何をやってもダメな子だ」という言葉が口癖の親がいたとしましょう。もしもそれが本心ではなかったとしても、いつもいつもそれを聞かされた子供の潜在意識には、確実に「自分はダメな子だ」という情報がインプットされてしまいます。

この子供が大きくなり、将来、自分で決めた目標を達成するために行動するとしましょう。意識では「この目標を達成したい!」と思っていても、行動する度に潜在意識のデータベースには「自分はダメな人間だ」という情報がインプットされているという、矛盾した状態になってしまいます。

既にお話ししたように、潜在意識は意識に比べて圧倒的に強い力を持っているので、「頭ではやりたいと思っているのに、思うような成果が得られない」という結果になる可能性が非常に高まります。

親は子供に最適な環境を提供することが大切

このように、生まれてから6歳までの環境は、その後の人生に大きな影響を与えます。ただ、まだ小さい子供にとって、自分を取り巻く環境を自分自身で選択することはできません。それらは全て、親が作り上げるものです。

京都大学の実験
母親のチンパンジーに、コンピュータに表示された漢字を認識するよう訓練する。正しい選択をするとコインがもらえ、それを自動販売機に入れると、果物が手に入るというものだ。

訓練中、母親は子供を連れていた。ある日、母親が販売機に果物を取りに行っていた時のこと、子供がコンピュータを動作させ、正しい選択をし、コインを手に入れた。

このことから、子供は親から教えてもらわなくても、観察するだけで複雑な行動手順を把握できることが分かった。

この実験から分かるように、この時期の子供にとって大切なのは、親が何を教えるか、どのような知識を身につけさせるか、ということではありません。いわゆる「学習・勉強」は、もう少し大きくなって自分で判断ができるようになってからでも遅くはありません。子供は常に親の行動を見て、それを学習していることを忘れず、そのことがどれだけ子供の人間形成に影響を与えているのかを常に意識することです。

親が子供に対して意識すべき最も重要なことは、自分自身を認め、物事を前向きに捉え、積極的に行動することができるような潜在意識のデータベースを作る「環境」を提供することです。子供の可能性を最大限に引き出せる環境で子育てすることが、親が子供に対してしてあげられる最高のプレゼントだと思います。

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